2023年夏、私は2歳7ヶ月だったふーちゃんと一緒に暮らし始めました。
あれから3年以上。当時は言葉での意思疎通さえ難しかったふーちゃんも、今では四六時中おしゃべりをして、ときには大人が驚くような言葉を使います。
一方で、成長するにつれて新しく見えてきた問題も多々。日常生活での困りごとが非常に多く、今では発達障害と精神障害の診断を受けています。
今回は、そんなふーちゃんがこれまでどんなふうに成長し、どのような課題を抱えてきたのかをまとめてみたいと思います。加えて、その都度私がどう対応したかにも触れていきますね。

WRITTEN BY
西田あずさ ふーちゃんの母
発達・精神に大きな課題を抱える次女との日々を「ふーちゃん観察日誌。」に綴っています。
2歳のふーちゃん
2歳7ヶ月で我が家にやってきたふーちゃんは、初めて会ったときから、発達も情緒も気になるところだらけでした。
年齢相応には見えない、言葉や運動機能の発達
当時は言葉の発達がかなりゆっくりで、「パン」「かし(お菓子)」など、ごく限られた言葉しか話せませんでした。かといって無言でいるわけではなく、口はずっと動いていて、よく分からない言語を呪文のように小声でずっと発していたのがかなり印象的。日常的な声かけも通じにくく、言葉で意思疎通すること自体が難しい状態で、「うん」や「イヤ」などの反応もほとんどありませんでした。
また、運動面にも大きな遅れを感じていました。
歩く、走るといった基本的な動作もぎこちなく、足腰の使い方は、まるで歩き始めたばかりの赤ちゃんのようでした。年齢にすると、1歳ぐらいのイメージなのかな。おもちゃに興味もなく、もちろん一人遊びもできない。物の使い方・遊び方などを教えてもなかなか習得できず、とにかくすぐに壊す。身体も手先も不器用さがかなり目立っていました。
食べ物に対する執着がものすごくって、食べ方も、まるで動物。餌を心待ちにしていた犬のようにがっつくし、詰め込むし、初めて見たときはかなり衝撃的だったのを覚えてます。「お腹いっぱい」も分からず、嘔吐しようとその食欲はエンドレスでした。
非常に不安定な情緒
そして一番特徴的だったのは、情緒面です。
何かをきっかけに表情や目つきが突然変わり、激しく泣いたり、怒ったり、暴れたり。一度そうなると、1〜2時間叫び続けることも…。一方で、急に虚ろになり、静かに自分を傷付ける行動も度々見られました。簡単にまとめると“アップダウンがかなり激しい子”という感じ。情緒の変化があったときに「こちらの対応が全く通らない」ところは、どんな様子のときでも共通していました。
また、大人の反応を確かめるような「試し行動」も非常に多い。しかも、そのやり方が子供らしくない。大人が見ても「計算づくされている」と感じるような行動が多発していました。
最も印象的なのは、その表情。癇癪を起こしたときもそうだし、自傷的な行為をしているときもそう。むしろ何もしていないときもですが、全体的に純粋な子供の表情ではありませんでした。何かに取り憑かれたような、闇に包まれた表情で、瞳に輝きがないというか…虚ろな表情や、憎しみに満ち溢れたような表情を見せることも多く、正直、恐怖を感じることもありました。
発達の遅れだけではなく、情緒や人との関わり方にも、何か特別な難しさがある。当時の私は、そんな印象を持っていましたね。
「育て直し」を決意して対応
そんな違和感満載のふーちゃんでしたが、当時の私は「これまで大人にちゃんと関わってもらえてないだけ」だと思っていました。もちろん今では、お医者様からも同じ見解もいただいていますが…何か先天的な発達障害があるわけではなく、完全に環境の問題だと思ってたんです。簡単に言うと、愛情不足ですね。
だから私は、ふーちゃんへの関わりを、生まれたての赤ちゃんからやり直すことにしました。私の育児を、ゼロからあの子に実践することにしたんですね。本来であれば年齢相応の対応ではないであろう、いわば「赤ちゃん扱い」をするところから始め、たくさん抱いて、全て受け止め、生活のあれこれを教え、段階を踏んでふーちゃんと向き合いました。
今ふーちゃんを一緒に育て、療育してくれている、専属のシッター先生も、この頃から協力してくれています。愛情を注ぎ、生活の基盤を整え、先生もふーちゃんに全力で向き合ってくれました。(今考えても、先生がいなかったら私は崩れてたと思う…)
私たちのやり方が正解だったかはわかりません。でもふーちゃんの「表情」は次第に明るくなっていき、天真爛漫な姿もたくさん見られるように。少しずつですが、ふーちゃんは確実に変化していきました。
3歳(年少)のふーちゃん
3歳になってしばらくすると、ふーちゃんの言葉は急速に増えていきました。
特に3歳3ヶ月頃、保育園に通い始めてからは、会話が成り立つように。そして、気づけば四六時中おしゃべりする子になっていました(笑)
さらに際立ち始めた、発達面の課題
ところが、言葉が増えた一方で、保育園に通い始めたことで発達面の課題がより一層目立ってきました。
運動や手先の不器用さ、力加減の難しさ、教えたことがなかなか身に付かないことなどは、継続。走れない、年齢相応の絵が描けない、保育園での活動に集中できないなど、できることと、できないことの差が目立つようになっていました。加えて、友達とは遊べないし、集団で落ち着けず騒がしくなると叫ぶ。外に出ようとせず、静かな場所での活動を好む。そんな特徴も見えるように。その場でクルクル回ったり、耳をポンポン抑えたり、代表的な(?)発達障害っぽい行動もかなり増えてきていました。
私が「発達障害の可能性」を疑い始めたのは、確かこの頃だったと思います。
情緒や対人関係の問題も、浮き彫りに
また、集団生活が始まったことで、情緒や対人関係の問題もよりはっきりと見えてきました。
予兆なく情緒が切り替わるのは継続しており、保育園では、お友達や先生とのトラブルが頻繁に発生。
- 理不尽な理由で友達や保育教諭に暴力
- 順番を抜かしや通路妨害行動
- 友達の作品などを意図的に壊す
- 「嫌がらせ」に見える行動が多い
- 「自分だけ見て!」がひどい
- 大人につきまとう
保育園からは毎日のように、こんな報告を受けていました。怪我をさせることも多々あり、謝罪を重ねる日々。先生から報告を受けるのが嫌で、保育園へ迎えに行くのが憂鬱だった時期もあります…。
一方で、家庭では比較的落ち着いているときもあり、場所や相手によって状態が大きく異なることも気になっていました。私に対する強い依存や、大人の反応を試すような関わり方もさらに目立つようになった時期。私をひどく舐めたような態度を取るようになり、母親への試し行動はピークを迎えていました。
かねてよりあった自傷的行為も酷くなり、ハサミなどを見つけると自分を切ろうとしたり、自分で爪を剥いたり…。自他共に傷付けることが非常に多かったです。
ちなみに、この頃私がある意味で一番驚いたのは、3歳8ヶ月で弟が生まれたときのこと。赤ちゃんがえりをすることもなく、むしろ弟に全く無関心な様子が伺えたんです。悪い言い方かもですが、人間だと思っていないような、独特の対応をしていました。「赤ちゃん」と認識していない様子も。普段の様子を考えると、凸凹さを感じますよね。
言葉は急速に発達しているのに、対人関係や心の問題はむしろ複雑になっていく…3歳のふーちゃんには、そんなアンバランスさを感じていました。
4歳(年中)のふーちゃん
4歳になる頃には、それまでの発達や情緒の課題に加え、精神面で気になる症状がたくさん増えてきました。医療機関や、各種支援を利用し始めたのも、この頃です。
精神症状っぽい、数々の言動
例えば、ふーちゃんは「頭の中でずっと声が聞こえる」と訴えるようになりました。誰も話しかけていないのに、私に何かを言われたと思って確認してくることも。ボーっと壁などを見ながら誰かとヒソヒソ会話しているような姿もありました。
また、記憶や認識についても、気になることが増えました。
ふーちゃんは、何ヶ月も前の出来事を驚くほど細かく覚えていることがあります。その一方で、直前の自分の言動については「知らない」「覚えていない」と説明したり、実際に起きたことと大きく異なる内容を話したりすることも。本人の中で何が起きているのか、単なる記憶違いなのか、それ以外の要因があるのか。私には判断できませんでした。
そして、夜間の様子にも変化が…。夜は何度もトイレに起きるのがデフォルト。なのにお漏らしも多い。突然起きて虚ろな様子で普段とは違う行動を取る、要は異常行動ですが、嘘か本当か翌朝には本人が覚えていない。顔や目のピクつきなど、身体面にも気になる様子が見られるようになりました。
いつもと違うことが少しでもあるとトイレの回数と喉の渇きが異常になるし、体調不良も頻回に。日によって、本人の様子が大きく違う。布団やぬいぐるみ、洋服を噛みちぎり、ビリビリに破くこともある。相手や場所によって態度や話し方が大きく変わること、日によって言動・行動が別人のように異なること、自分の身体を傷つける行動などもさらに目立つようになりました。
本人が見下している大人や子供同士の関わりでは4歳だとは思えない暴言があったり、母親がいない場所で「きょうだいに対する態度」が別人のように切り替わっていたり、私には見えていないふーちゃんが判明したのも、ちょうどこの頃です。危険行動も多く、当時の私は、ふーちゃんと他のきょうだいたちを守ることに必死でした。
専門家への相談を利用を開始し、新たな生活環境を構築
こうした状態が重なるにつれて、私はふーちゃんのことを「発達特性だけでも説明しきれない」と感じるようになっていました。
ふーちゃんの心や身体の中では、何が起きているのか。発達面だけでなく、精神面や神経学的な問題も含めて専門的に評価してもらうために、まずは発達クリニックを受診。そこでは、発達障害か精神障害かの判別が難しいこと、背景を考慮すると愛着障害の可能性が高いことを伝えられ、診断には至りませんでした。
同時に、保育園からの案内で、家庭支援センターや通級など、各種施設も利用するように。とってもいい先生たちに出会い、現在もお付き合いがありますが、どこへ行ってもふーちゃんは「こんな複雑な子は見たことがない」と言わる日々。家庭で過ごすことは難しいこと・きょうだいたちへの影響も、大きく指摘されるようになっりました。
施設入所を勧められては、断る…。でも色々な意味で限界を感じているし、専門家たちの言っていることも重々承知している…。ものすごい葛藤の中で、各所との相談を経て、4歳の夏、ふーちゃんは平日の間、2歳のときからお世話になっているシッターさんと過ごすことが決まりました。
各種支援を受けながら、家庭とシッター先生で生活場所を行き来する。そんな生活が始まったのです。
そして4歳の後半では、保育園から幼稚園へ転園。保育園よりもルーティンがしっかり決まっているので、ふーちゃんは以前より少し安定した社会生活が送れるようになりました。
5歳(年長)のふーちゃん
心配だった新しい生活環境は、ふーちゃんに合っていたようで、5歳になったふーちゃんは、比較的安定して過ごせるようになってきました。特性はもちろんたくさん出ているし、変わっていない部分も多いですが、社会生活上ではすごく頑張れるようになっています。特に他害は、以前に比べるとかなり減っています。
特性がかなり強く見えるように
しかし一方で、言葉の使い方・精神面の課題等は、さらに複雑になった、というより年齢を増すごとに形が変わってきました。
会話だけを聞いていると、大人と話しているように感じることが多々。言語力は本当に高く、逆に年齢不相応なんですが、言葉が達者だからといって、その意味を十分に理解できているか?といえば、そうではない印象です。私が特に感じているのは、会話や行動のパターンを覚える力は高いけど、物事の意味を理解する力はかなり低い、ということ。
一度覚えた言い回しを適切な場面で使えるのに、少し状況が変わると理解が難しくなる。言葉では分かっているように見えても、実際の行動にはつながらないことがめちゃくちゃ多い。ここに大きな凸凹を感じます。言葉選ばずに言うと「頭が良いのか、悪いのか、よく分からない」みたいな感じですね。
情緒面の影響もあり、理解力が乏しい部分ありで、赤ちゃんのような行動も多く、全体的にはやっぱり「幼いな」というやつです。
また、能力面にも相変わらず大きな差があります。
数字の計算のように比較的得意なことがある一方で、文字を書くことや身体を思いどおりに動かすことは苦手。何度も練習していること、毎日やっていることが、なかなか身につかない。昨日できていたことが、翌日にはできなくなっているように感じる場面もあります。絵画を頑張っていて、上手ですが、年齢相応の「うまさ」ではなく、独特(笑)ここは伸ばしたいと考えてるので、お絵描き教室に通う予定で私も楽しみにしています。
ちょっとしたことで大きく状態が崩れる、深夜に異常行動があるなどの部分も、今のところ変化はありません。
情緒や対人関係の課題は、相変わらず大きい
情緒や対人関係についても、以前からの課題が続いていて、予定変更への強い抵抗、同じ内容を繰り返し確認する行動、相手や状況による態度の変化などなど…。コミュニケーションも上手くとれず、仲のいいお友達はいません。相変わらず、発達特性だけでも情緒特性だけでも説明しきれない独特な子なので、性格が悪いだけに見えているシーンも多いようです。
特に問題視されているのはやはり相手・場所によって態度が別人のようになる部分ですが、彼女は自分軸がなく、その場その場で相手に合わせて「自分がいい状況になる」であろう行動をとる。だけど発達特性が影響して、合わせられない。だから、相手や状況によって態度が大きく変化するのがはっきり見える。今のふーちゃんはそんな状態だと思っています。
さらに、5歳になって、精神面?なのか、異常な行動は増えています。本人のプライバシーも踏まえ、全てをお伝えはできないのですが「5歳らしからぬ奇妙な行動」がすごく多い。そういった行動についてはInstagramやThreadsで度々触れているので、ぜひそちらもチェックしてください。
言葉、認知、運動、情緒、対人関係。それぞれの発達や状態に大きな差があり、複数の課題が重なっているのが、今のふーちゃんの特徴ですね。
初めて、診断がおりました
そんな5歳のふーちゃんですが、相変わらず各種支援は受け続けながら、4歳からの1年で医療機関も色々まわりました。診断が欲しかったわけでも、病名が知りたかったわけでもありません。絶対に何か問題があるのは明確だからこそ、必要な支援を受けるために、医師の見解がほしかったんです。
でも、どこへ行っても「発達特性も精神特性もあるんだろうけど診断は難しい」「でも、育てるにはかなり人手がいる子なのは分かる」「施設へ入所することを勧める」といった見解で、意見書も診断書もなかなか発行してもらえませんでした。
そんな中、通っていた発達クリニックから紹介してもらった大型の児童精神科を受診したところ、一旦ではあるものの、ついに診断がおりました。
医師の正式な診断は…自閉スペクトラム症および、精神障害。
ADHD、愛着障害、発達性トラウマも指摘されており、今後精神障害者手帳の発行に向けて進めてくれるそうです。ひとまず意見書も頂けているので、必要な支援はこれからもっと受けていける。それだけで、母は一安心しています。
詳しい診断内容については、また別の記事にまとめますね。
大事にしてるのは「今のふーちゃん」
こうして振り返ってみると、本当にいろいろなことがありましたし、今もあります。
2歳の頃は、言葉での意思疎通さえ難しかったふーちゃん。今では、大人が驚くような言葉を巧みに操ってくる(笑)一方で、当時から続いている課題もあれば、成長する中で新しく見えてきた問題もあります。
この記録を書くかどうか、本当は迷いました。でも私は、ふーちゃん自身にも、自分のことを知ってほしいと思っています。
何が得意で、何が苦手なのか。どんな思考の偏りがあって、それが社会でどう影響するのか。どんなときに気持ちが不安定になりやすいのか。困ったときに、どうすればいいのか…自分の特性や心の動きを理解することは、これからの人生を生きていくうえで、大きな力になると思うんですよね。
自己理解を深めさせる。それが、私のふーちゃんへの育児方針です。
もちろん課題は山積みだし、きっとこれからも壁にぶち当たる連続なんだと思う。でもふーちゃんは、確かに成長している。私は、これからの変化もちゃんと見ていきたい。いつかふーちゃんが、自分と似たような困難を抱える誰かの気持ちを理解し、支えられる人になったら…そんな未来も、少し楽しみにしています。
そして、いつかこの記録を振り返りながら「本当にいろいろあったけど、こんなに成長した!」と書ける日が来たら、嬉しいなと思います!
この記事は、ふーちゃんのこれまでの成長や症状、診断・支援の経過をまとめたものです。今後も大きな変化があれば、必要に応じて更新していきます。日々の具体的な出来事や、そこから私が考えたことについては、「ふーちゃん観察日誌」で記録しています。
なお、この記録には、ふーちゃん本人の成長や健康に関わる個人的な情報も含まれています。そのため、本人の成長や意思、今後の状況に応じて、内容の変更や非公開化を行う可能性があります。今この瞬間の記録を大切にしながら、これからもふーちゃん自身の人生を尊重していきたいと思っています。
ふーちゃん観察日誌

発達・精神に大きな課題を抱えるふーちゃんとの日々を記録。
Instagramでも発信中

ふーちゃんとの日常や、発達凸凹育児について発信。


