初心者必読！フリーランスが知るべき「確定申告の基本」を分かりやすく解説

フリーランスになると、原則確定申告が必須。会社員のように年末調整で所得状況を申告したり、給与からの天引きで税金の支払いを代行してくれたりする会社の存在がないからです。しかし初めてフリーランス初心者にとって、確定申告は未知の世界…。そもそもどんな手続きであり、どのように申告するのかも分からない方は多いでしょう。

そこで本記事では、確定申告の基本知識をフリーランス初心者向けに解説していきます。

駆け出しフリーランスはもちろん、これから独立を考えている方も、ぜひ最後までご覧ください！

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※本記事の内容は、税理士などの専門家によるアドバイスではありません。実際に確定申告を行う際は、あわせて税務署や専門家へ相談することをおすすめします。

フリーランスに必要な「確定申告」の前提知識

そもそも確定申告とは、1年間の所得とそれに対する税金（所得税や消費税）を計算し、税務署に申告・納税する手続きのこと。原則、対象となる年の翌年2月16日から3月15日まで（※消費税は3月31日まで）の期間中にこの手続きを行うことで、所得が確定し税金が適切に徴収されます。

一定の条件に該当するフリーランスは、確定申告が必須

この確定申告は任意ではなく「義務」であり、原則として年間の所得額から各種所得控除を差し引いてプラスになる場合は手続きが必須。所得金額が2,400万円以下の人には一律48万円の控除が適用されるため、他に給与所得のない専業のフリーランスなら「事業所得（売上ー経費）ー48万円」の数値がプラスになる場合に確定申告が必要です。副業でフリーランス活動を行っている場合でも、その所得が20万円を超えるなら確定申告しなければなりません。

加えて、インボイス制度により適格請求書発行事業者として登録しているフリーランスは「消費税」の確定申告も必要です。申告期限は申告する年の翌年3月31日とやや長めに期間設定されていますが、漏れを防ぐには所得税の確定申告と同時に準備・手続きするのが良いでしょう。

なお上記の条件に当てはまらないフリーランスでも、条件によっては確定申告することで税金の払い過ぎを防げたり、還付を受けられたりすることも。フリーランスとして活動している限り、少額の収入・赤字でも、毎回きちんと申告するのがベストと言えます。

確定申告の詳細な条件及び基準については、国税庁の公式ページやお近くの税務署でご確認ください。

フリーランスが確定申告をしないとどうなる！？

確定申告は簡単ではないですが、対象者である人が手続きを怠ると重大なペナルティを課されかねません。

代表的なペナルティ

ペナルティ	概要
無申告課税	期限内に確定申告を行わなかった場合、納税額の15%（自主的申告の場合は5%）追加納税を求められる
延滞税	納付期限を過ぎて税金を支払った場合に追加納税を求められる※年率は時期や金額に応じて変動

期限内に確定申告をしない＝期限内に納税をしないということなので、上記の無申告課税と延滞税は同時に課されるのが一般的。そして期限内に手続きしていても虚偽の申告を行なった場合は、「重加算税」と呼ばれる高額な追徴課税を求められたり、最悪のケースでは脱税行為として刑事罰が科されたりする可能性もあります。

フリーランスの確定申告には2種類の申告方式がある

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、どちらの方式を利用するかはフリーランス自身で選択できます。

白色申告と青色申告の主な違い

	白色申告	青色申告
申告の手間	比較的簡単	やや複雑な作業が必要
控除額	なし	最大65万円
事前に必要な手続き	なし	「青色申告承認申請書」と「開業届」の提出

白色申告は申告手続きがシンプルな反面、控除が受けられず節税効果はあまり得られません。一方で青色申告は複雑な記帳作業が必要なものの、最大65万円の控除を受けられるほか、赤字を3年間繰り越せるなど節税効果が非常に高いのが魅力です。所得が少なく簡単に申告を済ませたいなら白色申告、節税をしながら長期的に事業を続けたいなら青色申告を選ぶと良いでしょう。

フリーランスの確定申告5ステップ

では次に、確定申告は実際どのような手順でおこなえば良いのか、基本的な流れを簡単に解説していきます。

1．収支データの整理

まずは、収支データの整理から始めます。売上がいつ・いくら発生し、いつ入金されたのか？経費をいつ・何に・いくら使ったのか？といった1年間の取引情報を集めましょう。そのうえで各取引をカテゴリごとに時系列で整理しておくと、今後のステップがスムーズに進みます！

整理方法の例

カテゴリ例	含めるデータ例
売上が分かる書類	1/2の発行請求書、1/3の発行請求書、1月のクラウドソーシング入出金履歴…
経費が分かる書類	1/7の接待交際費領収書、1/20の書籍費レシート、1月のzoom利用費請求書…
入出金が分かる書類	1月の銀行・クレカ取引明細書、2月の銀行・クレカ取引明細書…

2．帳簿の作成

1年間の収支が明確になったら、申告方法（白色or青色）に応じた帳簿を作成していきます。白色申告の場合は単式簿記といって家計簿のような簡単な記帳が認められていますが、青色申告では複式簿記と呼ばれる複雑な記帳が必須。青色申告の帳簿作成は素人には困難に等しいので、会計ソフトも活用しながら適切に作成しましょう。

参考 帳簿の記帳のしかた｜国税庁

3．申告書類の作成

続いて、帳簿（収入と経費のデータ）を元に提出する申告書類を作成します。

申告方式	作成する書類
白色申告	確定申告書B 収支内訳書
青色申告	確定申告書B 青色申告決算書

申告書は国税庁のホームページや税務署で入手できるので、形式に従って必要な情報を記入しましょう。（※e-Taxや会計ソフトを利用する場合はオンライン上で作成可）このとき、適用される控除の記載や納税額の計算もおこないます。計算ミスや記載漏れはペナルティの対象となりかねないので、申告書は慎重に・正確に作成してください。

4．申告書の提出

申告書類が完成したら、税務署へ提出します。マイナンバーの確認書類をはじめ、必要に応じて各種控除証明書や源泉徴収票などを添付し、以下いずれかの方法で提出しましょう。

5．納税

申告書の提出が終わったら、申告時に算出した税金を期限内に支払います。納税方法は、銀行振込・クレジットカード決済・コンビニ払い・口座振替などから選択可。納税の期限を守らないと延滞税が発生する可能性があるため、納税の必要がある場合は早めに手続きしましょう。

なお、確定申告によって還付金（税金を多く納めたときに返ってくるお金）が発生した場合は、後日税務署から入金があります。

フリーランスの確定申告をラクにするコツ

フリーランスになると確定申告は毎年おこなう必要がありますが、何の準備もなくして簡単に終わらせられるような作業ではありません。事業が成長するにつれ、作業はどんどん複雑化するでしょう。そこでここからは、確定申告をラクに済ませるためのコツを3つ紹介していきます。確定申告に備えてぜひ今すぐ取り入れてみてください！

1．日頃から書類を整理しておく

確定申告時は売上や経費の証拠となる書類に基づいて帳簿や申告書を作成しますが、1年分を一気に確認するのは大変です。取引関係の書類は最低でも1ヶ月ごとに決まった場所へまとめ、整理しておきましょう。

整理しておくべき書類

これらの取引書類を日頃から適切に分類し、保管しておけば、申告時の手間を大幅カットできるはずです。

なお、整理方法として個人的におすすめなのは、一旦全ての書類をオンラインストレージサービス（Googleドライブなど）で管理しておくこと。そもそも取引書類は電子帳簿等保存法という法律に従い、自身に該当する要件に応じ適切に保存しなければなりません。しかし「紙でもらった領収書はこっち」「ダウンロードした領収書はこっち」といったように書類の媒体によって保管場所が異なると、確定申告時の確認作業が大変になるでしょう。だからこそ紙で発行・受領した書類もスキャンしてPDF化し、電子で発行・受領した書類とひとまとめにして、確定申告用にオンラインストレージサービスで整理しておくのです。※最終的な保存方法は必ず電子帳簿等保存法に従ってください。

2．記帳を習慣化する

書類整理と同じく習慣化しておくべきなのが、帳簿の記帳作業です。

帳簿作成は確定申告で最も手間のかかりがちな作業。適切な記帳方法は人により異なるものの、青色申告の場合は以下のような帳簿を複数作らなければなりません。

よってこの帳簿作成も、確定申告の直前にまとめて記帳するのではなく、日々または月ごとに収支を記録しておきましょう。小さな取引でも漏れなく記録し、正確な帳簿を維持すれば、申告時に慌てることがなくなります。

3．クラウド会計ソフトを活用する

そして一番手っ取り早く確定申告をラクにできるのが「クラウド会計ソフト」の導入です。

クラウド会計ソフトとは？
事業における収支の記録や仕訳作業、帳簿作成、請求書作成、確定申告の準備までをサポートしてくれるWebツールのこと。

クラウド会計ソフトを利用すれば、銀行口座やクレジットカードの取引情報を自動で取り込み収支データを記録したうえで、帳簿作成までをも自動でおこなってくれます。よって、場合によっては取引書類の整理が不十分でも申告準備が自動で完結しますし、帳簿にかんしても簡単なチェックのみで正確な作成が可能。また確定申告に必要な書類も自動で生成できるので、申告ミスを防ぎながらスムーズに手続きを進められます！

導入には一定の月額料金がかかりますが、もちろん経費計上が可能ですし、フリーランスの会計・経理作業のほぼ完全自動化が叶います。会計の知識がなくても簡単に青色申告65万円控除も狙えるため、節税にも効果的。確定申告をラクにしたいフリーランスは、迷うことなくクラウド会計ソフトを導入すべきだと言えます！

クラウド会計ソフトの詳細はこちら

まとめ：フリーランスは正しい確定申告の知識も身につけておこう

以上、フリーランスにとって確定申告の知識は非常に重要です。知識がないゆえに適当な申告をおこなうと、本来支払うべき税金より多く納税し損をしてしまったり、ペナルティ対象になったりする羽目にもなりかねません。

確定申告は簡単ではないものの、流れを理解し適切な準備を進めれば、負担は大幅に削減できます。本記事の内容を参考にしながら計画的に準備を進め、最低限、収支管理や書類整理は日頃から徹底しておきましょう。

わからないことがあれば、税務署の公式サイトを確認するか専門家への相談も検討してみてくださいね。