Webライターの仕事で直接契約を結ぶ場合、基本的には請求書を発行する必要があります。ですが間違っても、いざ提出を求められた場合に「請求書ってどうやって書けばいいですか?」とクライアントに聞いてはいけません。
そこでこの記事では、Webライターにおける請求書の書き方や作成に使えるツールなどを紹介していきます!
- Webライターにおける請求書の書き方
- 請求書を作る方法
- 請求書の保管方法
なお本記事を執筆する私は、外注Webライターさん20名以上を抱える会社の経営者。
この記事を書いた人
毎月膨大な請求書の送付・受理を繰り返しているほか、この記事の執筆にあたっては会社の顧問税理士に質問も重ね、信頼性の担保に努めました。
今回ご紹介するのはあくまでも私が推奨する方法ですが、ぜひ参考にしてみてください。
Webライターにおける基本的な請求書の書き方
では早速Webライターにおける請求書の書き方を説明していきますが、まずはコチラの見本をご覧ください↓
請求書に記載すべきことは主に以下の通りです。※2023年10月に開始するインボイス制度における請求書の書き方は「国税庁|適格請求書等保存方式の概要」を参考にしてください
- 取引先の名称
- 請求元の情報
- 請求書番号・請求日・支払い期限
- 取引年月日・取引内容・金額
- 税率ごとに区分した消費税額
- 源泉徴収税
- 合計金額
- 振込先口座情報
- メッセージ
それぞれの項目について、詳しくみていきましょう!
1.取引先の名称
まず取引先の名称は、クライアントの氏名や法人格に「様」や「御中」を付けるのが基本。
- 〇〇株式会社 御中
- 〇〇 〇〇様
請求先の名称が不明の場合は「請求書の宛名はどうすればいいですか?」と事前に聞いておくと良いでしょう。
2.請求元の情報
次に請求元の情報を記載しますが、特記事項は「氏名または事業所名(屋号)」のみ。インボイス制度においては加えて「インボイス申請時に税務署から通知される登録番号」の明記が必要です。※参照:国税庁|適格請求書等保存方式の概要
住所や電話番号、Eメールアドレスなどの記載は義務付けられていませんが、書いておくと親切でしょう。
3.請求書番号・請求日・支払い期限
そして請求書には「請求書番号」「請求日」「支払い期限」も書くのが基本です。
請求書番号 | 自身が管理するための番号※自由に設定してOK |
請求日 | 請求書を発行した年月日 |
支払い期限 | 振込の期限 |
請求書番号は相手に関係ないものの、確認のしやすさを考えると割り当てておくべきでしょう。自身が管理しやすいよう、事前にルールを定めておくと良いです。
私の場合、個人時代は年度の始まりから「001」「002」といった連番でつけていました!
そして請求日に関しては「支払い側の債務が確定した日」といった位置付けになるので、トラブルを防ぐためにもなるべく記載してください。支払い期限についても同様です。クライアントに支払日を指定されている場合はその年月日を、取り決めがない場合は目安として1ヶ月後ぐらいを指定すると良いでしょう。
4.取引年月日・取引内容・金額
請求書の中でも特に大事なのが、請求の明細部分。原則として「取引年月日」「品目」「単価」「数量」「価格」の記載が必須です。
まず取引年月日や品目については、Webライターの場合基本的に以下の通り記載します↓
取引年月日 | 基本的に納品日を記載 |
品目 | 基本的に「原稿料」と記載※何の原稿か分かるように記載すると親切 |
そして単価や数量の書き方は「報酬形態」によって異なるので、それぞれ以下を参考にしてみてください↓
文字単価の場合
単価 | 指定文字単価 |
数量 | 合計の文字数(単位:文字) |
価格 | 文字単価×文字数の数値 |
記事単価の場合
単価 | 指定記事単価 |
数量 | 合計執筆本数(単位:本) |
価格 | 記事単価×記事数の数値 |
時給単価の場合
単価 | 指定の時給単価 |
数量 | 合計稼働時間(単位:時間) |
価格 | 時給×稼働時間の数値 |
月額固定報酬の場合
単価 | 月額報酬額 |
数量 | 1(単位:ヶ月分) |
価格 | 月額報酬額 |
ただ、この請求明細欄はクライアントに書き方を細かく指定されるケースも少なくありません。最初の請求時に「請求書に関するルールがあればご教示ください」と聞いておくと安心でしょう。
うちの場合は複数種類の案件を抱えるプロダクションなので、品目名は「〇〇(案件名) 原稿料」、単価や数量は案件ごとに1行でまとめてもらってます!
5.税率ごとに区分した消費税額
請求明細が記載できたら、次はその報酬金額における「税率ごとの消費税額」を明記します。
上記の通り、要は「それぞれの税率が適用される金額」と「それぞれの税率における消費税額」が分かればOK。とはいえWebライターが請求する「原稿料」の消費税率は全て10%のはずなので、基本的に「税抜きの報酬額」と「消費税額(税抜きの報酬額×10%)」、そして「10%対象であること」を記載すれば問題ないでしょう。※報酬単価が「内税」か「外税」かは契約により異なるので、事前にしっかり確認してください
6.源泉徴収税
加えて、必要に応じて「源泉徴収税」も記載しましょう。
そもそもですが、Webライターが請求する「原稿料」は源泉徴収の対象です。取引先が法人の場合、クライアントはあなたの報酬を支払う際に所得税及び復興特別所得税を源泉徴収して税務署に納付しないといけません。要は、あなたの税金をクライアントが代わりに納付してくれるのです。
請求書への記載は必須ではないものの、トラブルを防ぐためには書いておくのがベスト。源泉徴収対象の報酬金額合計に以下の税率をかけた金額を「源泉徴収税 ー〇〇円」といった形で記載しましょう。
報酬金額 | 税率 |
---|---|
100万円以下の場合 | 10.21% |
100万円を超える場合 | 20.42%+102,100円 |
なお、源泉徴収税を税込金額から計算するのか・税抜き金額から計算するのかはクライアントに確認してください!
7.合計金額
各種税金の計算が終わったら、報酬(手取り)の合計金額を記載します。外税の場合は小計に消費税をプラス、源泉徴収対象案件の場合は小計から源泉徴収税をマイナスし、クライアントがあなたへ振り込む金額を記載しましょう。
8.振込先口座情報
続いて、報酬を振り込んでもらうためにあなたの銀行口座情報も忘れず記載してください。
記載する情報
- 銀行名(銀行コード)
- 支店名(支店コード)
- 口座種別(普通/当座)
- 口座番号
- 口座名義
これまでの経験上「支店情報が抜けてる」「名義人情報が抜けてる」「口座番号が間違っている」といったWebライターさんは案外多いので、漏れなく記載しましょう!
9.メッセージ
最後に「備考欄」といった項目名でメッセージを記載します。こちらは任意なものの、振込手数料を相手に負担してほしい場合は一文入れておきましょう。※記載がない場合あなたの報酬から引かれても文句は言えません
- 振込手数料は貴社にてご負担お願いいたします。
- 恐れ入りますが、振込手数料はご負担いただきますようお願い申し上げます。
加えて、日頃の感謝や挨拶文を入れるケースも多いです↓
- いつもお世話になっております。◯年◯月分の原稿料について、上記の通り請求いたします。
- いつもご愛顧賜り、ありがたくお礼申し上げます。
請求書が仕上がったら、間違いがないかしっかり見直して相手へ送付しましょう。Web提出の場合は「PDF」が基本なので、画像やエクセルで送らないようご注意ください!
ちなみに、ここまで紹介した項目の順番に決まりはありません。ここで紹介した要素がしっかり入っていればOKです!
Webライターの請求書は何で作れば良い?
請求書の書き方はわかったけど…どうやって作ったらいいの?
請求書の作り方に決まりはありませんが、パソコンで作る場合は主に2つの方法があります!
- 表計算ツールや文書作成ツール作る
- 請求書作成サービスを活用して作る
1.表計算ツールや文書作成ツールで作る
まずは、エクセル・Googleスプレッドシートといった表計算ツール、もしくはワード・Googleドキュメントなどの文書作成ツールで作る方法です。
これらの利点は、無料で作れるうえに知識さえあれば好みのデザインに設定できること。「スプレッドシート(エクセル) 請求書 テンプレ」「ドキュメント(ワード) 請求書 テンプレ」などと検索すると、無料でダウンロードできるおしゃれなフォーマットもたくさん出てきます。
また、表計算ツールなら関数を組んで自動計算できるので、細かなミスが生じることもありません。案件を管理しているシートがある場合、それらと紐付けて自動生成するような仕組みも構築できるでしょう。
Webライターが普段から使っているツールなので、取り入れやすさは抜群じゃないでしょうか!
2.請求書作成サービスを活用して作る
そして、個人的に激推しなのが「請求書作成サービス」を活用して作る方法です。
品目や単価を入力するだけで各種税金・合計金額も全自動で計算してくれますし、インボイス制度に対応した請求書の作成も楽々。直感的な操作で簡単に間違いのない請求書を作れるほか、美しいデザインの請求書に仕上げられるんです。頻繁に請求書を作るなら、活用必須じゃないでしょうか。
請求書作成サービスはたくさんありますが、私が使用したことがあるのはこちらの3つ↓
これらは全て会計ソフトとの連携が可能なので、活用すれば請求書の発行から経理まで一元化できるのがポイント。中でも「請求書を作るだけに使いたい!」といった方におすすめであり、多くのフリーランス・法人が活用している印象なのは「MISOCA」です。
MISOCAのポイントは、月間5通までの作成なら完全無料で利用できること。会員登録するだけですぐに使えるようになり、テンプレートもかなり豊富なのでおしゃれな請求書を作れます↓
5通以上の作成が必要になった場合でも15通までのプランなら年間8,000円。ただし、今ならキャンペーンにより1年間無料で利用できちゃいます。楽に・確実な請求書を作りたい方は、ぜひ活用してみてくださいね!
Webライターの請求書は保管必須!
なお、発行した請求書の写しは基本的に破棄してはいけません。
厳密には「写し」がない限り保存しなくてもいいとされていますが、インボイス制度(適格請求書等保存制度)においては控えの保存(7年間)が義務付けられています。インボイス対象有無に限らず、保存しておくのが無難でしょう。
適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書等の写し及び提供した適格請求書等に係る電磁的記録の保存義務があります。この適格請求書等の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません。
引用:国税庁|適格請求書等保存方式の手引き
保存方法については、原則電子で発行したなら電子保存で問題ありません。※弊社顧問税理士に確認済
おすすめはGoogleドライブ、iCloudなどオンラインストレージサービスに保管しておくこと。パソコンやUSBに保存するのもいいですが、トラブルによる破損の可能性を考えるとオンライン保存が適していると言えるでしょう。
とにもかくにも、発行した請求書は原則保存しておいてくださいね!
まとめ:Webライターは正しい請求書の書き方をマスターしておこう
以上、Webライターの請求書作成はそれほど難しい作業ではありません。
ただし大前提として、請求書はミスがないかきちんと精査してからの提出が必須。項目が増えるほどに計算が大変になるので、なるべく自動計算できる表計算ツールか、請求書作成サービスで作るのが望ましいでしょう。
請求書作成サービスの一例
中でもMISOCAは月5通までなら無料で利用できるうえ、それ以降のプランでも1年間は無料で利用できます!そのようなサービスも上手く活用し、毎月の作業を楽にしつつ確実な請求書を作ってみてください!